【犬編】第4回:歯みがき
歯みがきの効用
効用
- 年老いてもおいしく食事がとれる
- 口臭を弱める
- 歯周病の予防
- 口内疾患(歯周病、腫瘍など)の早期発見
口臭
犬の口臭はほとんどの場合が歯周疾患によるものです。3歳を過ぎると80%以上の犬になんらかの歯周疾患があるといわれています。
口腔内で増殖した細菌が産生する硫化水素・メルカプタン・揮発性脂肪酸などが口臭の原因になります。
口臭は小型犬種、短頭犬種、そして老齢犬に多くみられます。小型犬種、短頭犬種では歯の隙間が狭く、どうしても口腔内を清潔に保つのが難しくなりますし、歯垢・歯石も付着しやすくなります。
さらに小型犬種は長生きですし、家族が柔らかな食べ物を与えることが多いようです。これらは歯周疾患の素因になります。
歯周疾患以外にも口臭の原因はあります。においの強い食べ物を食べたとき、糖尿病・尿毒症のとき、鼻炎・副鼻腔炎のとき、巨大食道のとき、呼吸器系や消化器系に腫瘍があるときなどです。
動物病院で病気に応じた適切な治療が必要です。
歯肉炎、そして歯周病
歯肉とは歯茎(はぐき)のことです。細菌が歯茎に感染して炎症が起こると歯肉炎です。歯茎が赤く腫れ、出血が見られることもあります。好発部位は頬の上顎面(上の奥歯付近)です。
歯垢、歯石の蓄積が見られることが多く、歯茎の表面を触ると出血することもあります。
歯肉炎が進むと歯を支える組織まで炎症が広がります。歯肉炎の重症化です。この状態が歯周病(歯槽膿漏)です。
歯周病は、歯を取り囲んで支えている組織(歯肉、顎の骨、歯根の外側にある層)が破壊されていく病気とご理解ください。最終的には歯がグラグラになって抜け落ち、おいしく食事をとることが困難になってしまいます。
歯周疾患はその程度によって4段階に分けることができます。第1段階と第2段階が歯肉炎です。第3段階からが歯周病です。
第1段階:炎症が歯肉の一部に限定されている
第2段階:歯肉に液が溜まったり(歯茎が腫れる)、出血が見られたりする
第3段階:第2段階に加え、膿が出ることがあり、軽度~中等度の骨の融解も見られる
第4段階:第3段階に加え、骨の融解も重度で歯がグラグラになる
歯周疾患はやはり予防が大切です。猫は歯みがきをとても嫌がりますが、多くの犬は極端に嫌がることはありません。毎日こまめなケアが可能です。
さまざまな口腔ケア製品が市販されています。歯周疾患が重度になると動物病院での歯科処置が必要になります。
スケーリング(歯石・歯垢の除去)、ポリッシング(スケーリング後の研磨)などです。場合により抜歯が必要なこともあります。
歯みがきのコツ
歯みがきの道具
道具の名称 | 用途と注意 |
---|---|
ガーゼまたは歯みがきタオル | 指に巻いて使います |
指歯ブラシ | 指サックのように使います |
歯ブラシ | 犬用歯ブラシ(子ども用歯ブラシも代用できます) |
犬用歯みがき | 基本的には不要ですが、犬専用を使ってください |
スケーラー | 歯石を除去するときに使用します |
歯みがきへの慣らし方
慣らし方のポイント
- 歯みがきは生後2カ月くらいから始めます
- 歯みがきはしつけの一環です
- 家族が親としての立場を発揮できていることが先決です
- 褒めることで「歯みがきは楽しいこと」と思わせます
- 最初は短時間で終わらせます(歯ブラシを舐めさせるだけでも)
歯みがきのポイント
注意点
- 犬が嫌がったら無理にやらない
- 前歯の外側から始め、慣れてきたら奥歯、内側を
- 歯みがきは短時間で
- 犬専用の歯みがきを使用する(人用歯みがきは使用しない)
- 簡単の歯石はスケーラーを使って
- 頑固な歯石、歯周病は動物病院での治療を