【犬編】第7回:夏場の暑さ対策
夏場の暑さ対策の必要性
- 寒さには比較的強いが、暑さ・高湿度に弱い
- 発汗による体温調節が苦手
犬の多くはヨーロッパ原産です。日本と比較すると、原産国では平均気温は低く、夏季でも高温になりません。湿度も低いことから、日差しを遮れば犬にとっては過ごしやすい気候です。
基本的に犬にとって原産国の気候が最も過ごしやすいといわれています。一方、日本の夏は、温暖化の影響もあり、猛暑・酷暑、そして高湿度です。そのため、多くの犬には暑さ対策が必要になります。
汗腺には二種類(エクリン腺、アポクリン腺)ありますが、体温降下作用が優れているのはさらりとした汗を出すエクリン腺です。犬では肉球だけに分布しています。
人では全身に分布していますので、汗をかくことで気化熱による体温調節が可能です。しかし、犬は全身で汗をかくことができないので、その代わり舌を出して「ハア、ハア」と激しく呼吸し(パンティング)、熱を体外に放出して体温を下げようとしますが、体温調節は苦手です。
その上、保温効果がある体毛に覆われているため、体温が人より高く、体温が上昇しやすく、なかなか下がらない体質ともいえます。
土に穴を掘って体を埋めたり、冷たい床やコンクリートの上に腹這いになったりするのも、腹部を冷やして体温を下げようという犬自身の暑さ対策です。
夏場の暑さ対策のコツ
まずは犬の居場所の気温・風通しなどを体感してみましょう。それも朝、午前中、昼間、午後、夕方、夜と時間を変えてチェックします。それまで気づかなかった点が分かることがあります。
例えば「昼間はそれほどでもないのに、朝の日差しでずいぶん暑くなるな」などです。例示の対策としては東側にヨシズ・スダレを設置するとずいぶん違ってきます。
まずは基本的な暑さ対策を講じ、体感して気づいたところをそれぞれ工夫します。
室内飼育
- エアコンと扇風機を上手に使って室温を調節する
- 直射日光をカーテンなどで遮る
(室内では犬自身が涼しい場所を自由に選びます)
屋外飼育
- 日陰で風通しの良い場所に犬小屋を設置する
- 犬小屋の天井と床は高くする
- 犬小屋のヒサシはできるだけ長くする
- 犬小屋にヨシズ・スダレなどをかけ、日陰を作る
(ヨシズ・スダレをツル植物などで緑化するのも一方法) - 運動場は芝生・土を選ぶ
(コンクリートであれば打ち水、流水などで冷却する)
夏場の暑さ対策のポイント
注意点
- 体温調節がさらに苦手な子犬、老犬、病犬は冷やし過ぎに注意する
- 全身毛刈りは毛質が変化することがある
(サマーカットは専門家に依頼する) - 夏場は食べ物も腐りやすいので、食べ残しは処分し、食器類はよく洗浄する
- 室内での留守番、車内で待たせるときは熱中症に厳重注意する
- 冷却用ゲルの入った保冷用パックは、犬が食べると急性腎不全を起こすエチレングリコールが入っているので使用禁止