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2020.04.24
お知らせ

抗菌性物質製剤の適正使用について

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
薬剤耐性(AMR)の問題が世界中で深刻化する中、国内で使用される動物用抗菌性物質製剤の使用方法も見直され、行政や民間企業によりさまざまな取り組みが行われてきております。当社では、多種類の動物用抗菌性物質製剤を製造販売しております。
製造販売業者の立場から、抗菌性物質製剤の適正使用推進のための情報提供および注意喚起として、以下の通りご案内申し上げます。

適応外使用について

疾病の治療上、やむをえない場合は、動物用医薬品を承認された以外の方法で使用することは、獣医師の裁量として認められており(食用動物への使用が禁止されている物質を有効成分とする一部医薬品を除く)、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律における違反とはなりません。
しかし、承認された対象動物以外に動物用医薬品を使用する場合の有効性や安全性は確認されておらず、薬剤耐性菌のモニタリング等を適切に行うこともできません。獣医師が必要と判断した個別の事例について、当社から使用の制限をお願いすることはありませんが、動物、畜産物ひいては人や環境の安全確保のためにも、当社としては、原則として承認された“用法及び用量”および“効能又は効果”に基づいた使用を推奨しております。

コリスチンについて

近年のトピックスとしてコリスチンに関して言及します。コリスチンは国内において、動物用医薬品として広く使用されています。人用医薬品としては、感染性腸炎の治療にカプセル剤などが用いられていましたが、2015年に多剤耐性緑膿菌由来感染症などの治療のために注射剤が承認され、医療上重要な抗生物質となっています。
近年、家畜においてコリスチン耐性遺伝子を有する病原菌が認められていることから、食品安全委員会によるリスク評価が実施されました。その結果、コリスチン耐性の病原菌は食品を介して人にばく露し、人用抗生物質による治療効果が減弱または喪失する可能性が否定できず、リスクの程度は「中等度」と評価されました。
これを受け、農林水産省により動物用医薬品としてのコリスチンについては、2018年に第二次選択薬として位置づけられ、モニタリング調査が強化されることとなりました。また、コリスチンは飼料に混ぜて与える飼料添加物として鶏、牛、豚で使用されていましたが、指定取り消しとなり、現在は飼料添加物として使用できません。
(参考:農林水産省 動物医薬品検査所HP)

適正使用の推進

当社は動物用医薬品の製造販売業者として、抗菌性物質製剤が国内の動物の細菌性疾病の治療に持続的に使用できるよう、適正使用を推進いたします。
コリスチン製剤(コリスチン20「KS」及びコリスチン40「KS」)については上記のように、薬剤耐性菌対策上、特に重要な製剤であることから、対象動物における用法及び用量、効能又は効果(下記)に基づいた使用を原則とし、対象動物以外への使用は極力控え、他の薬剤で代用していただきたいと考えております。
また、細菌性疾病対策には環境衛生管理やワクチン等による予防措置も重要です。
(参考)
コリスチン20「KS」、コリスチン40「KS」
【用法及び用量】
飼料1t当たりコリスチンとして下記の量を均一に混じて経口投与する。
豚(4ヵ月齢を超える豚を除く。):40~200g(力価)
投薬開始後3日以内に治療効果を確認し、効果がみられない場合には獣医師の判断に基づき薬剤の変更等を行うこと。
【効能又は効果】
有効菌種 大腸菌、サルモネラ、キャンピロバクター
適応症 豚:第一次選択薬が無効の場合の細菌性下痢症