わんにゃん豆知識

ペットと暮らしているといつもいろいろな不思議や疑問にぶつかります。
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(学術監修:石田卓夫先生)

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ペットの食事学 / 犬編

第2回:エネルギーの話

はじめに

今回は日頃あちこちで眼にする"カロリー"についてお話します。ダイエットブームもあって、"カロリー"という言葉自体はとても馴染みある言葉です。しかし、それはどんなものなのでしょう。馴染みはあってもよくわかりません。
そんな"カロリー(エネルギー)"について紹介します。

エネルギーの概念

エネルギーを供給する栄養素は、炭水化物、脂肪、蛋白質です。エネルギーは熱に置き換えてその量を知ることができます。
食べ物のエネルギーはそれを完全燃焼(酸化)させたときに産生される熱量で表します。単位はkcal(キロカロリー)です。

それぞれの食べ物が持つエネルギーを総エネルギー(GE)といいます。犬は口から入った食べ物のエネルギーをすべて吸収できるわけではありません。吸収できなかったエネルギーは糞便中に排泄されます。総エネルギー(GE)から糞便中のエネルギーを差し引いたものを可消化エネルギー(DE)といいます。つまり消化・吸収ができたエネルギーです。

吸収したエネルギーもすべてが利用されるわけではありません。利用されずに尿中に排泄されるエネルギーがあります。可消化エネルギー(DE)からこれを差し引いたものを代謝可能エネルギー(ME)といいます。

食べ物の消化、吸収及び利用のときにもエネルギーが消費されます。代謝可能エネルギー(ME)からこれを差し引いたものが正味エネルギー(NE)です。

この正味エネルギー(NE)が、体を維持するため、そして生産(発育、授乳、運動など)に用いられるのです。体を維持するのに必要な量以上の正味エネルギーがないと、発育、授乳、運動などの生産活動はできません。

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犬の食事を考えた場合、最も役立つエネルギーの測定値は代謝可能エネルギー(ME)です。MEは食事のエネルギー成分中で体内に保持され利用できるエネルギーです。食事のエネルギーも、体内を素通りしたり、吸収されても利用できずに排泄されたりすると、利用価値はありません。体内で利用されてその意味が出てきます。

蛋白質、炭水化物、脂肪が完全に酸化した場合の総エネルギー(GE)は、それぞれ5.65、4.15及び9.4kcal/gです。代謝可能エネルギー(ME)はそれより小さな値となります。
人間の場合は、蛋白質と炭水化物のMEは4kcal/g、脂肪は9kcal/gですが、犬ではやや効率が悪く、蛋白質と炭水化物で3.5kcal/g、脂肪は8.7kcal/gとされています。 なお、繊維質、水分、灰分は0kcal/gです。

カロリー計算

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フードの成分表からカロリー計算をすることができます(代謝可能エネルギーが表示されているフードもあります)。フードの表示は保証成分比率です。つまり"これ以上入っている"、あるいは"これ以下にしている"という保証値です。実際の分析値ではありません。
本来なら分析値からフードのカロリー計算をしなければなりません。
保証成分表で%がわかる場合、それから算出した総カロリーに、ドライ及び半生フードでは1.1をかけ、缶詰では1.2をかければ実際のカロリーを概算できます。この係数は多数の製品の保証値と分析値の比較から得られた数値です。

例えば表(以下)のドライフードについてカロリー計算してみましょう。各成分の保証値(%)に成分毎の代謝可能エネルギー(ME)をかけて(各栄養素のMEは2-1を参照)、100g当りのカロリーを求めます。それを合計します。表の場合、合計は333.8kcalです。ドライフードですので、これに1.1をかけます。
333.8×1.1=367.18≒367Kcal/100gがこのドライフードのカロリーの概算になります。

成分 保証値(%) 計算 100g中のカロリー
(kcal)
蛋白質 22 22×3.5 77.0
脂肪 9 9×8.7 78.3
繊維質 3 3×0 0
水分 10 10×0 0
灰分 5 5×0 0
炭水化物 51 51×3.5 178.5
合計 333.8 kcal
概算:333.8×1.1≒367

基礎エネルギー必要量

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今度は犬側からエネルギーを考えてみましょう。温和な気温で、基本的生命活動を行うのに必要なエネルギー量を"基礎エネルギー必要量(BER)"といいます。
よく"基礎代謝"という言葉を聞きますが、これと同じです。BERは体表面積に比例します。つまり体表面績が大きいほど(体格が大きいほど)エネルギーが必要です。
なぜなら、生体に利用されるエネルギーの大部分は熱として体表から発散されるからです。BERは体表面積1平方メートル当り約1,000kcalとされています。

基礎エネルギー必要量(BER)に通常の活動(体重維持のための食べ物の摂取とその利用)に必要なエネルギーを加えたものが、"維持エネルギー必要量(MER)"です。MERは通常の活動をしながら体重を維持するのに必要なエネルギー量といえます。

犬の維持エネルギー必要量(MER)は基礎エネルギー必要量(BER)の約2倍です。犬らしく活動的に生きるためには基礎代謝の2倍のカロリーが必要なのです。
猫のMERはBERの約1.4倍です。猫は犬ほど活動的ではないことを示唆しているようです。体重1kgの犬のMERは132kcal(132kcal/kg)、10kgの犬では742kcal(74.2kcal/kg)、60kgの犬では2,844kcal(47.4kcal/kg)とされています。

成長、妊娠、泌乳、労働など、他の生産活動がある場合は、さらにエネルギーが必要になりますし、あまりに活動性の低い個体では摂取エネルギーが低くても体を維持できます。活動状態により維持エネルギー必要量(MER)に係数をかけて、体重維持に必要なエネルギー量を算出します。
なお、病気の場合は基礎エネルギー必要量(BER)に適切な疾病係数をかけます。

生産活動 体重維持に必要なエネルギー
非活動(怠惰) MER×0.8
軽労働(1時間)
軽労働(終日)
重労働
MER×1.1
MER×1.4〜1.5
MER×2〜4
妊娠(初期6週間)
妊娠(末期3週間)
MER×1
MER×1.1〜1.3
泌乳極期 MER×(1+0.25×新生子数)
成長期(通常)
出生〜3ヵ月齢
3〜6ヵ月齢
6〜12ヵ月齢

MER×2
MER×1.6
MER×1.2
成長期(大型犬種)
3〜9ヵ月齢
9〜24ヵ月齢

MER×1.6
MER×1.2
疾病 BER×適切な疾病係数


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