わんにゃん豆知識

ペットと暮らしているといつもいろいろな不思議や疑問にぶつかります。
そんな不思議、疑問を動物のお薬を作っている共立製薬株式会社が解決いたします!
(学術監修:石田卓夫先生)

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日常のケア / 犬編

第1回:ニオイ対策

まず"犬と匂い"について、狼の習性と比較しながらお話します。

人にとって異臭と感じる"ニオイ"でも、犬にとっては芳しい"匂い"になることがあります。
犬に主体を置く「1 犬と匂いの話」では"匂い"、家族に主体を置く「2 ニオイ対策」では"ニオイ"と表記してお話します。

犬と匂いの話

嗅覚の発達した犬にとって匂いによる情報交換は最も重要です。
犬の発する匂いには二種類あります。糞便、尿、肛門嚢(のう)分泌物による匂いと汗腺、皮脂腺からの匂いです。汗腺は人ほど発達していません。情報交換に重要な匂いは尿と肛門嚢(のう)分泌物です。

情報交換に重要な匂い 役割
尿 縄張り、順位、仲間意識、発情の発見
肛門嚢(のう)分泌物 個体識別
糞便

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狼は糞便を臭跡として利用します。群れ狼は縄張りの通り道に頻繁に糞便をします。

一方、一匹狼は決して通り道では排便せず、道から外れたところで排便します。狼にとって糞便による匂いづけは縄張りを示す印なのかもしれません。家庭犬はどうでしょう。散歩道からやや外れたところでの排便が多いように思われます。家庭犬は一匹狼に近いのかもしれません。ただし、犬が糞便を情報手段として使っているかどうかはよくはわかっていません。

尿

犬が尿による匂いづけ(マーキング)で情報交換していることは確実です。犬は頻繁に尿をしますが、純粋な排尿行為と情報交換のための匂いづけがあります。どちらの行為なのかは、排尿の量、あるいは排尿時間で区別します。長くて、量が多い排尿が純粋な排尿行為です。短い排尿はマーキングです。

支配的地位にある狼は片足を上げてなるべく高い位置に排尿します。それも頻繁です。群れの他の狼はその匂いをたびたび確認します。一匹狼はこの片足上げ排尿を全くと言ってよいほどやりません。群れ狼は一匹狼の尿の跡にマーキングしますが、逆に一匹狼は群れ狼の尿の跡には決して排尿しません。尿によるマーキングは縄張り・支配性に関係しているようです。

また、発情期の雌の尿にはフェロモンが入っているため、子孫繁栄のための情報提供も尿でできます。

犬も狼と同様に尿による情報交換をします。犬の尿も縄張り、順位、仲間意識、発情の発見などに重要です。

肛門嚢(のう)分泌物

肛門の左右に肛門嚢(のう)という器官があります。この器官から排出される分泌物が肛門嚢(のう)分泌物です。肛門嚢(のう)分泌物は個体識別に重要な役割を果たします。この分泌物は、それぞれの動物群で揮発成分・構成成分に相違があることがわかっています。また、性差、遺伝的な差もあります。つまり個々でその匂いが違うことから個体識別していると考えられるのです。

肛門嚢(のう)分泌物は日によって、量、色、匂いが微妙に変化します。その日の体調も含め、多くの情報がこれにより伝達されていると想像されます。狼が群れの仲間と日に何度か会陰部を嗅ぎあうのも、犬が散歩中に他犬の会陰部を嗅ぐのも、相手の情報を得ることが目的のようです。

その他

犬の全体的な匂いには、皮膚にある皮脂腺、足の裏の汗腺(エクリン腺)、頭部・尾根部の背面域・会陰部の汗腺(アポクリン腺)からの匂いも関係しています。

ニオイ対策

家族側からみたニオイ対策を考えてみましょう。犬側のニオイの素への対策がほとんどですが、排泄(あるいは排出)後の処置も必要です。

犬用シャンプーを選ぶとき、人に心地良い香りのシャンプーをつい選びがちです。しかし、注意しなければならないのは、犬の嗅覚はきわめて発達しており、物質によっては人の感じる濃度の1,000倍〜1億倍まで薄められた濃度でも嗅ぎ分けることができるという点です。

人にとって芳しい香りでも、香料の強いシャンプーは犬にとって耐えがたいこともあります。また、犬の皮膚はそれほど強くありませんので過度のシャンプーは刺激が強すぎます。被毛の光沢もなくなります。よって一定間隔でのシャンプーが推奨されます。ブラッシングは、犬の触覚を適度に刺激しますし、人とのコミュニケーション、家族の支配性維持(犬の支配性攻撃予防:犬の問題行動参照)にも有効です。散歩中に体毛に付着した汚れやダニも落とすこともできます。ブラッシングは毎日でも大丈夫です。その他、口臭、耳の中のニオイ、犬種によっては顔の皺のニオイも気になります。これらについては別の機会に紹介することにします。

また、糞尿のニオイを少なくするフード・おやつなどが市販されていますので、これらを活用することもニオイ対策の一つです。

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一番のニオイの素は肛門嚢(のう)分泌物かもしれません。かなり強烈なニオイです。大型犬では排糞のときに一緒に排出されることが多く、分泌液が多量に溜まることは少ないようです。一方、小型犬では自分でうまく排出することができない場合があるようです。細菌感染による炎症(肛門嚢(のう)炎)が起こるとニオイはさらに強くなります。定期的に肛門嚢(のう)をしぼって分泌物を排出すると、ニオイも減り、肛門嚢(のう)炎の予防にもなります。

付録として肛門嚢(のう)のしぼり方を記載しておきます。【 付録:肛門嚢(のう)のしぼり方 】をご参照ください。動物病院でしぼり方を習うとその後は家庭でもできるようになります。自分でできないときは動物病院で定期的に処置してもらうことを推奨します。

室内で失敗した糞尿の跡、犬用の敷物などの掃除・洗濯には洗剤を使います。また、ニオイ対策に消臭剤を使用することがあります。シャンプーのところでお話したように、洗剤も消臭剤も強すぎる香料に注意しなければなりません。人と犬の嗅覚の違いに配慮してください。

消臭剤の代わりに脱臭機器を使用する家庭も多いようです。その場合は、他の家電製品と同様、留守番中の室内飼育犬がコンセントをかじって感電したりしないように注意してください。

対策 注意点
【1】シャンプーとブラッシング
  • 強すぎる香料の入ったシャンプー
    (人には心地良い匂いでも嗅覚の優れた犬には強すぎます)
  • 過度のシャンプー(犬の皮膚はそれほど強くありません。
    過度のシャンプーはダメージを与えることもあります)
【2】消臭作用のあるフード・おやつ
  • 大きな注意点はありませんが、栄養バランスには注意が必要です。
【3】肛門嚢の処置
  • 肛門嚢炎があるときは先に治療が必要です。
  • 自分でできない時は定期的に動物病院で処理をしてもらうとよいでしょう
【4】洗剤での掃除・消臭剤
  • 強すぎる香料の入った洗剤・消臭剤(理由は(1)と同じ)
付録:肛門嚢のしぼり方

※肛門嚢炎などがある場合は動物病院で先に治療してもらいます。

  1. 自分の指の爪を切っておく
    (力を入れすぎて傷をつけてしまうことがあります)
  2. 薄手のゴム手袋、ティッシュペーパーを用意する
    (入手可能なら手術用ゴム手袋が便利です)
  3. 肛門嚢の位置を確認する
    (肛門嚢は肛門横の4時と8時の位置です)
    (分泌液が溜まっていると膨らんでいます)
  4. 尻尾を持ち上げる
    (尻尾を持ち上げると排出しやすくなります)
    (二人作業にして、一人が犬の上半身を保定するとやり易くなります)
  5. 肛門の横(やや斜め下)に指をあてがう
    (肛門嚢が膨らんでいるときはその外側斜め下に指をあてがいます)
  6. 肛門に向かって指を押し上げる
    (肛門の斜め下から斜め上へと絞る感じです)
  7. 分泌物をティッシュペーパーで受ける
    (分泌物のニオイは強烈です。手指や服などにつかないようティッシュペーパーなどで受け取るようにします)
  8. 分泌物が出なくなるまで(5)〜(7)を繰り返す
    (無理をすると傷つけますし、犬が嫌がるようになります。つまり次のときは犬が逃げ出します。適当なところで終わりにします)


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